相続では未成年者が法定相続人となることもあります。しかし相続手続きに必要な遺産分割協議は法律行為のため、未成年者は参加することができません。
基本的に未成年者が法律行為を行う際には、法定代理人である親が代わりに手続きを行うことになりますが、相続においては親が代理できないケースがあります。親と子が共に法定相続人となる場合です。
このことを利益相反といい、利益相反関係にあたる際に親が子の代理人となると、子の権利を害することになりかねません。このような場合には、子の代理人となる「特別代理人」を別に定める必要があります。
特別代理人の選任について
特別代理人が必要な場合には、親権者や利害関係人がこの住所地を管轄する家庭裁判所にて申し立てを行います。なお利益相反は親と未成年者の関係以外にも、成年被後見人と成年後見人が相続人である場合も起こりえるのでご注意ください。その際にも、未成年者と同様に特別代理人が必要となります。
利益相反とは
(例)母が被相続人であり、相続人が配偶者である父と13歳の子供である場合
母の相続において法定相続人となるのは配偶者と第一順位の子です。
父は子の法定代理人ですが、相続において子と利益を相反する立場でもあります。もし、このまま遺産分割協議を行うと、父親にとって有利な内容で遺産分割を決められるため、未成年者は不利な立場となってしまいます。
このような未成年者の相続権利を遵守するためにも、特別代理人という制度が存在します。